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新本『「なむ」の来歴』斎藤真理子
¥1,980
『「なむ」の来歴』 斎藤真理子 イーストプレス/四六判/280頁 2025/11/20 定価1,800円+税 ーーーーーー 日本、韓国、沖縄、どこへ行っても本は木(なむ)で出来ていた。 ●概要 「三十代初めまでは身近に詩があった。だからこの本にもちょくちょく自分の書いた詩が顔を出す」。著者がこれまで生きてきた日本、韓国、沖縄で感じたこと、言葉にしたこと、詩で表現したこと。三点測量するように書いてきたエッセイを集大成。 ●本文より 韓国に来る前に持っている本を全部売った。古本屋のおじいさんが部屋まで来てくれて十年間私が引越しのたびにひきずって歩いた活字の群れをそっくり引き取ってくれた。さよなら 私の本たち。それはたいそう重かった。 「本って、本当に重いですよね」私が言うと おじいさんが答えた。「さようでございますもともと木でございますからね」(第一章「プラタナス」より) 三十代初めまでは身近に詩があった。だからこの本にもちょくちょく自分の書いた詩が顔を出す。日本語でも一冊詩集を出し、ソウルにいるときには朝鮮語で書き、それらが一九九三年に韓国の民音社から『入国』として出版された。外国人がハングルで書いた珍しい本ということで当時かなり話題になったのである。ちょうど、韓国でいくつかの詩集が驚異的なセールスを記録していた時期だった。崔泳美(チェ ヨン ミ)という詩人の『三十、宴は終わった』(日本語版はハン・ソンレ訳、書肆青樹社)が一九九四年に刊行されて百万部以上という驚異のセールスを記録し、今もおそらくこの記録は塗り替えられていないと思う。私の詩集が読まれ、すぐに重版がかかったのもこうした流れの中のできごとだ。そして、民主化からあまり時間が経っていなかった九〇年代初頭の韓国人たちは好奇心に満ち、新しいもの、変わったものに対して寛容だった。(「あとがき」より) ●著者プロフィール 1960年、新潟市生まれ。翻訳者。著書に『増補新版 韓国文学の中心にあるもの』『本の栞にぶら下がる』『隣の国の人々と出会う――韓国語と日本語のあいだ』。訳書にチョ・セヒ『こびとが打ち上げた小さなボール』、ハン・ガン『ギリシャ語の時間』、チョン・セラン『フィフティ・ピープル』、チョ・ナムジュ『82年生まれ、キム・ジヨン』、ファン・ジョンウン『ディディの傘』、李箱『翼――李箱作品集』、パク・ソルメ『未来散歩練習』などがある。2015年、共訳書パク・ミンギュ『カステラ』が第一回日本翻訳大賞受賞。2020年、訳書チョ・ナムジュ他『ヒョンナムオッパへ』で第18回韓国文学翻訳大賞(韓国文学翻訳院主催)受賞。2025年、ハン・ガン『別れを告げない』で第76回読売文学賞(研究・翻訳部門)を受賞。 (以上、版元さまより)
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新本『リチャード・ブローティガン』藤本和子
¥1,210
『リチャード・ブローティガン』 藤本和子 ちくま文庫/文庫判/320頁 2025/10/10 定価1,100円+税 ーーーーーー 『アメリカの鱒釣り』などが愛され、しかしピストル自殺に至った作家の人生と作品を、翻訳者にして友人であった著者が描く。解説 くぼたのぞみ (版元さまより)
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古本『ビニール傘』岸政彦
¥550
『ビニール傘』 岸政彦 新潮社 2021/3/5第7刷 ーーーーーー 社会学者による初の小説集 第156回芥川賞候補作 ーーーーーー 状態:良い ------ 中古商品のため使用感等ある場合がございますが、クリーニング後迅速丁寧に発送いたします。 ---商品状態の詳細--- 非常に良い: 非常にきれいな状態です。 良い: 一般的な中古商品です。 可: 経年劣化による傷み、日焼け、スレ、歪み、一部書き込み等がある場合がありますが、読むことに支障はありません。
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新本『フラナリー・オコナー全短篇』【上】
¥1,650
SOLD OUT
『フラナリー・オコナー全短篇』【上】 フラナリー・オコナー 訳・横山貞子 ちくま文庫/文庫判/448頁 2025/9/5 定価1,500円+税 ーーーーー 初版刊行2009/3/10 【目次】 善人はなかなかいない 河 生きのこるために 不意打ちの幸運 聖霊のやどる宮 人造黒人 火の中の輪 旧敵との出逢い 田舎の善人 強制追放者 ゼラニウム 床屋 オオヤマネコ 収穫 七面鳥 列車 解説・ 蜂飼耳
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新本『フラナリー・オコナー全短篇』【下】
¥1,540
SOLD OUT
『フラナリー・オコナー全短篇』【下】 フラナリー・オコナー 訳・横山貞子 ちくま文庫/文庫判/448頁 2025/9/5 定価1,400円+税 ーーーーーー 初版刊行2009/04/08 【目次】 すべて上昇するものは一点に集まる グリーンリーフ 森の景色 長引く悪寒 家庭のやすらぎ 障害者優先 啓示 パーカーの背中 よみがえりの日 パートリッジ祭 なにゆえ国々は騒ぎ立つ フラナリー・オコナー年譜 翻訳者あとがき 文庫判あとがき
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新本『斜め論』松本卓也
¥2,420
SOLD OUT
『斜め論』 松本卓也 筑摩書房/四六判/320頁 2025/9/10初版第二刷 定価2,200円+税 ーーーーーー ケアは、どうひらかれたのか? 「生き延び」と「当事者」の時代へと至る「心」の議論の変遷を跡付ける。 垂直から水平、そして斜めへ。時代を画する、著者の新たな代表作! === 「現代は、ケア論の隆盛に代表されるように、人と人との水平的なつながりの重要性をいうことがスタンダードになった時代である。けれども、単に水平的であればよいわけではない。 水平方向は、人々を水平(よこならび)にしてしまう平準化を導いてしまうからだ。けれども、水平方向には日常を捉え直し、そこからちょっとした垂直方向の突出を可能にする契機もまた伏在している。ゆえに、垂直方向の特権化を批判しつつ、しかし現代的な水平方向の重視に完全に乗るわけでもなく、「斜め」を目指すこと……。 そのような弁証法的な思考を、精神科臨床、心理臨床、当事者研究、制度論的精神療法、ハイデガー、オープンダイアローグ、依存症といったテーマに即して展開したのが本書のすべてである。」 (あとがきより抜粋) === 自己実現や乗り越えること、あるいは精神分析による自己の掘り下げを特徴とする「垂直」方向と、自助グループや居場所型デイケアなど、隣人とかかわっていくことを重視する「水平」方向。 20世紀が「垂直」の世紀だとすれば、今世紀は「水平」、そしてそこに「ちょっとした垂直性」を加えた「斜め」へと、パラダイムがシフトしていく時代と言える。 本書は、ビンスワンガー、中井久夫、上野千鶴子、信田さよ子、当事者研究、ガタリ、ウリ、ラカン、ハイデガーらの議論をもとに、精神病理学とそれにかかわる人間観の変遷を跡付け、「斜め」の理論をひらいていこうとする試みである。 著者は、2015年のデビュー作『人はみな妄想する』でラカン像を刷新し、國分功一郎、千葉雅也の両氏に絶賛された気鋭の精神医学者。デビューから10年、新たな代表作がここに誕生する。 (以上、版元さまより)
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新本『資本主義は私たちをなぜ幸せにしないのか』ナンシー・フレイザー
¥1,210
『資本主義は私たちをなぜ幸せにしないのか』 ナンシー・フレイザー 訳・江口泰子 ちくま新書/新書判/320頁 2025/9/20第八刷 定価1,100円+税 ーーーーーー 初版刊行2023/8/10 資本主義は私たちの生存基盤を食い物にすることで肥大化する矛盾に満ちたシステムである。世界的政治学者がそのメカニズムを根源から批判する。 なぜ経済が発展しても私たちは豊かになれないのか。それは、資本主義が私たちの生活や自然といった存立基盤を餌に成長する巨大なシステムだからである。資本主義そのものが問題である以上、「グリーン資本主義」や、表面的な格差是正などは目くらましにすぎず、根本的な解決策にはなりえない。破局から逃れる道はただ一つ、資本主義自体を拒絶することなのだ――。世界的政治学者が「共喰い資本主義」の実態を暴く話題作。解説 白井聡 (以上、版元さまより)
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新本『視線と差異』グリゼルダ・ポロック
¥1,870
『視線と差異』フェミニズムで読む美術史 グリゼルダ・ポロック 訳・萩原弘子 ちくま学芸文庫/文庫判/512頁 2025/10/10 定価1,700円+税 ーーーーーー なぜ美術史から女の存在が抹消されてきたのか? 西洋近代芸術の歴史が記述・記録される過程において強力に働いてきたさまざまな偏りを明らかにし、その学としてのあり方自体に内在する権力構造と性差別を指摘する。その一方で、フェミニズムからの美術史の問いなおしは、往々にして「ニュー・アート・ヒストリー」というかたちで旧来的な美術史の語りに再包摂されてきた。そうした現状についても鋭く批判し、緻密な検証を積み重ねることで美術史そのものに根源的な変革を迫る論争の書。新版への序文をあらたに訳出した決定版。 (以上、版元さまより)
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新本『時間と自己』木村 敏
¥836
『時間と自己』 木村 敏 中公新書/新書判/208頁 2023/6/5 33版 定価760円+税 ーーーーーー 初版刊行1982年 時間という現象と、私が私自身であるということは、 厳密に一致する。自己や時間を「もの」ではなく「こと」として捉えることによって、西洋的独我論を一気に超えた著者は、時間と個我の同時的誕生をあざやかに跡づけ、さらに、ふつうは健全な均衡のもとに蔽われている時間の根源的諸様態を、狂気の中に見てとる。前夜祭的時間、あとの祭的時間、そして永遠の今に生きる祝祭的時間――「生の源泉としての大いなる死」がここに現前する。 (以上、版元さまより)
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新本『ラテンアメリカ文学入門』寺尾隆吉
¥924
『ラテンアメリカ文学入門』ボルヘス、ガルシア・マルケスから新世代の旗手まで 寺尾隆吉 中公新書/新書判/240頁 2024/7/15再版 定価840円+税 ーーーーーー 2016年初版刊行 一九六〇~七〇年代に旋風を巻き起こし、世界に強い衝撃をもたらしたラテンアメリカ文学。その潮流はどのように生まれ、いかなる軌跡をたどったのか。ボルヘス、ガルシア・マルケス、バルガス・ジョサ、ボラーニョら作家の活動と作品はもとより、背景となる歴史、世相、出版社の販売戦略なども描き出す。世界的ブーム後の新世代の台頭にも迫った本書は、広大で肥沃な新しい世界へ読者を誘うだろう。ブックガイドにも最適。 (以上、版元さまより)
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古本『それでも人生にイエスと言う』 著者 ヴィクトール・E・フランクル
¥450
『それでも人生にイエスと言う』 ヴィクトール・E・フランクル 訳・ 山田 邦男 / 松田 美佳 春秋社 2016/4/25第64刷 ------- ナチスによる強制収容所の体験として全世界に衝撃を与えた『夜と霧』の著者が、その体験と思索を踏まえてすべての悩める人に「人生を肯定する」ことを訴えた感動の講演集。 ------- 状態:可 ------ 中古商品のため使用感等ある場合がございますが、クリーニング後迅速丁寧に発送いたします。 ---商品状態の詳細--- 非常に良い: 非常にきれいな状態です。 良い: 一般的な中古商品です。 可: 経年劣化による傷み、日焼け、スレ、歪み、一部書き込み等がある場合がありますが、読むことに支障はありません。
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古本『死と愛』実存分析入門 ヴィクトール・E・フランクル
¥1,000
『死と愛』実存分析入門 ヴィクトール・E・フランクル 霜山徳爾・訳 みすず書房 2008年11月28日第21刷 ------- 『夜と霧』刊行の翌年、『死と愛』は1957年に霜山徳爾訳で刊行されました。 その後1985年に新装版が刊行され、こちらの一冊はその新装版の21刷です。 目次 第一章 心理療法からロゴセラピーへ 第二章 精神分析から実存分析へ 第一節 一般的実存分析 一 人生の意味 死の意味 強制収容所の心理 二 苦悩の意味 三 労働の意味 四 愛の意味 第二節 特殊実存分析 (a) 不安神経症の心理 (b) 強迫神経症の心理 (c) 鬱病の心理 (d) 統合失調症の心理 第三章 心理的告白から医師による魂の癒しへ 訳者あとがき 解説 河原理子 ------- 状態:可 ------ 中古商品のため使用感等ある場合がございますが、クリーニング後迅速丁寧に発送いたします。 ---商品状態の詳細--- 非常に良い: 非常にきれいな状態です。 良い: 一般的な中古商品です。 可: 経年劣化による傷み、日焼け、スレ、歪み、一部書き込み等がある場合がありますが、読むことに支障はありません。
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古本『フランクル・セレクション 神経症〈1〉その理論と治療』
¥1,000
『フランクル・セレクション 神経症〈1〉その理論と治療』 フランクル,V.E. 訳・宮本 忠雄/小田 晋 みすず書房 2002年一刷 ------- フランクルの理論と実践が、最も体系的にまとめられ、かつ人間への温かいまなざしが感じられる著作。精神医学の枠を超えて、人文科学や社会科学へも示唆する拡がりを持つ。第一部「神経症論と心理療法」を所収。 (表紙裏より) ------- 状態:可 ------ 中古商品のため使用感等ある場合がございますが、クリーニング後迅速丁寧に発送いたします。 ---商品状態の詳細--- 非常に良い: 非常にきれいな状態です。 良い: 一般的な中古商品です。 可: 経年劣化による傷み、日焼け、スレ、歪み、一部書き込み等がある場合がありますが、読むことに支障はありません。
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古本『現代思想2013年4月臨時増刊号 総特集=imago ヴィクトール・E・フランクル』
¥400
『現代思想2013年4月臨時増刊号 総特集=imago ヴィクトール・E・フランクル』 それでも人生にイエスと言うために 青土社 2013年3月30日発行 ------- ヴィクトール・E・フランクル 実存分析と時代の問題 意味喪失の時代における教育の使命 山の体験と意味の経験 【討議】 フランクルから現代を問い直す / 池田香代子×姜尚中 【私の好きなフランクルの言葉】 「私はもはや人生から期待すべき何ものも持っていないのだ。」 これに対して人は如何に答えるべきであろうか……/ 日野原重明 精神療法、とりわけ精神分析が求めていたものは、世俗的告白であった。 しかし実存分析が求めているものは、魂への配慮である / 香山リカ 他 ------- 状態:可 ------ 中古商品のため使用感等ある場合がございますが、クリーニング後迅速丁寧に発送いたします。 ---商品状態の詳細--- 非常に良い: 非常にきれいな状態です。 良い: 一般的な中古商品です。 可: 経年劣化による傷み、日焼け、スレ、歪み、一部書き込み等がある場合がありますが、読むことに支障はありません。
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新本『私たちに名刺がないだけで仕事してこなかったわけじゃない 韓国、女性たちの労働生活史』 京郷新聞ジェンダー企画班 著
¥2,420
『私たちに名刺がないだけで仕事してこなかったわけじゃない 韓国、女性たちの労働生活史』 京郷新聞ジェンダー企画班 著 すんみ/尹 怡景・訳 大和書房/四六判/272頁 2025/7/20発行 定価2,200円+税 ------- 韓国大手新聞社「京郷新聞社」で特別に編成されたジェンダー企画班による、偉大すぎる女性たちの記録 激動の時代、国を影で支えてきたのは「正社員」には数えられない無数の女性たちだった――。 韓国社会を支えてきた50~70代の女性たちへのインタビュー集。 (版元より) 【目次】 prologue ありふれた声を求めて WAY TO WORK 出勤一日目 ほら見ろ、これが女性たちの人生だぞ。 WAY TO WORK 出勤二日目 私たちが働いていないだと? WAY TO WORK 出勤三日目 男尊女卑からフェミニズムまで WAY TO WORK 出勤四日目 ここは都会と違うんです WAY TO WORK 出勤五日目 今日も出勤する女性たち Epilogue 彼女たち一人一人が、一冊の本だった
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新本『「働けない」をとことん考えてみた。』 栗田 隆子
¥2,090
『「働けない」をとことん考えてみた。』 栗田 隆子 平凡社/四六判/216頁 2025/2/14発行 定価1,900円+税 ------- 働かない、働けない、働きたくない……。 「普通の働き方」ってなんだろう? ロスジェネ世代、非正規雇用、職場のハラスメント、 うつと休職、生活保護、障害年金── 『ぼそぼそ声のフェミニズム』著者がつづる 〈働けない〉側から考える、あたらしい労働論。 「ウェブ平凡」で話題を呼んだ好評連載に、書き下ろしを加え書籍化! (版元より) 【目次】 はじめに 一章 働かない、働けない、働きたくない ……時代が私に追いついてきてしまったのか? 「正規雇用」の「正」ってナニ? ──正規雇用と非正規雇用の分断の正体 働けない人間の身に起きたこと──年金制度に潜む差別 独身女性のイメージの変遷を追ってみる──ゼロ年代から二〇年代まで インボイス制度──国家や企業の本音が透け透け 「女性活躍」とは何なのか? ──「女性の人権」とは似て非なるもの 世界は無償労働で回っている──有償労働と無償労働の違いって? 二章 「普通になりたい」という願望 “怠ける”というタブー ──うつ病の人が闘う相手とは 「お天気屋さん」として生きている いつまでも楽にならない労働の話 頑張りゃいいってものじゃない 「おおきなかぶ」と「新時代の『日本的経営』」 三章 不安定な私の労働と、働かなくてもよい人たち 「怠け者」列伝 働いているけど、働いてない 不労所得──あるいは「稼ぎ」が目的ではない仕事 ポイ活──消費の導火線、あるいは労働の残滓 おわりに
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新本『到来する女たち 石牟礼道子・中村きい子・森崎和江の思想文学』 渡邊 英理
¥2,640
『到来する女たち 石牟礼道子・中村きい子・森崎和江の思想文学』 渡邊 英理 書肆侃侃房/四六判並製/400頁 2024/6/30発行 定価2,400円+税 装丁 成原亜美 装画 マーク・ロスコ《無題》 ------- 不揃いなままで「わたし」が「わたしたち」になる──。 1958年に創刊された雑誌『サークル村』に集った石牟礼道子、中村きい子、森崎和江が聞書きなどの手法で切り拓いた新たな地平を、『中上健次論』が話題を呼んだ著者が「思想文学」の視点で読み解く。 「『サークル村』を通して、彼女たちが手に入れたのは、儚い「わたし」(たち)の小さな「声」を顕すための言葉であったにちがいない。この新しい集団の言葉は、異質なものと接触し遭遇することで自らを鍛え、異質な他者とともに葛藤を抱えながらも不透明な現実を生きようとする言葉でなければならなかった。支配や権力、垂直的な位階制や序列的な差別から自由で、不揃いなままで水平的に「わたし」は「わたしたち」になる。 三人の女たちは、そのような「わたし」と「わたしたち」を創造/想像し、「わたし」と「わたしたち」とを表現しうる言葉を発明しようとしたのではなかったか」(渡邊英理) ・石牟礼道子(1927-2018)【熊本】……熊本県天草生まれ。詩人、作家。生後すぐに水俣へ。著書に『苦海浄土』『椿の海の記』『西南役伝説』ほか。 ・中村きい子(1928-1996)【鹿児島】……鹿児島生まれ。小説家、作家。母をモデルにした小説『女と刀』は大きな話題を呼び、木下恵介監督によりドラマ化もされた。 ・森崎和江(1927-2022)【福岡】……朝鮮大邱生まれ。詩人、作家。17歳で単身九州へ渡り、58年筑豊炭鉱近郊の中間に転居、谷川雁らと『サークル村』創刊。著書に『まっくら』『慶州は母の呼び声』『非所有の所有』など。 【目次】 はじめに 1 集団・聞書き・女たち 2 「思想文学」として読む 3 三人の横顔 4 本書の構成と概要 第1章 はじまりとしての『サークル村』 1 戦後文化運動と『サークル村』 2 『サークル村』の「女性表現」 3 九州の「南」 4 「南」の女たち 5 「南九州」の集団と文化 6 「戦争小説」/「戦後文学」 7 「エロス」と女たち 8 〈非所有の(非)所有〉 第2章 母の肖像/群像──中村きい子『女と刀』 1 娘による母の伝記 2 「南九州」の宗教と「差別」 3 下級武士の娘 4 不適切な擬態 5 意に沿わぬ結婚 6 抜かれぬ刀、女の争闘 7 〈借り物〉からはじめる 8 あらがねの肌と性愛(エロス) 第3章 連なり越えゆく世界を感受する──石牟礼道子『椿の海の記』 1 あわいを漂う言葉 2 交通と(被)開発の時空 3 分解と再生産、「生類世界」とコモンズ 4 家父長制とケアの実践 5 ケアする人びと 6 「女」という階級 第4章 不透明な他者と女同志の絆──森崎和江『遙かなる祭』 1 小フィクション説という言葉の機構 2 放浪という運動性 3 日本の二重構造 4 批判としてのフィクション 5 階級/性/「民族」 6 異郷の神々と女たちの「交流」 7 海と女の思想圏 第5章 交差する言葉、流動する女たち 1 「失対人夫」、「都市雑業層」 2 階級と性、あるいは労働と愛 3 「流民/型労働者」と被差別民 4 「流民」の女たち 5 到来する女/言葉 註 あとがき 【著者プロフィール】 渡邊英理(わたなべ・えり) 熊本県生まれ、鹿児島県(霧島市・鹿児島市)育ち。大阪大学大学院人文学研究科教授。日本語 文学、批評/批評理論、思想文学論。東京大学大学院総合文化研究科単位取得後満期退学。博士 (学術、東京大学、二〇一二年)。 主要著書に、単著『中上健次論』(インスクリプト、二〇二二年七月、第一四回表象文化論学会 賞)、共編著『クリティカルワード 文学理論』(三原芳秋・鵜戸聡との編著、フィルムアート社、 二〇二〇年)、共著『〈戦後文学〉の現在形』(紅野謙介・内藤千珠子・成田龍一編、平凡社、二 〇二〇年)、共著『文学理論の名著50』(大橋洋一・三原芳秋編著、平凡社、二〇二五年)、共著 『二十一世紀の荒地へ』(酒井直樹・坪井秀人との鼎談収録、以文社、二〇二五年)など。 論文に、「戦争と女たち― 鈴木忠志の演劇における「現代世界」と「戦後日本」」『思想』二〇 二四年八月号(岩波書店、二〇二四年七月)、「復讐と砂漠― 安部公房『砂の女』と〈戦後文 学〉」『現代思想』一一月臨時増刊号(青土社、二〇二四年一〇月)、「未完の晩年様式、未決の 「アジア的想像力」」『群像』二〇二四年七月号(講談社、二〇二四年六月)など。文芸批評では、共同通信・文芸時評「いま、文学の場所へ」(二〇二三年四月〜)、「女たちの群像」 『群像』(講談社、二〇二五年五月号〜)、「おごじょの本棚」『西日本新聞』(二〇二五年六月〜)、 「新人小説月評」『文學界』(文藝春秋、二〇二三年八月号〜二〇二四年七月号)などを連載。森崎和江 『能登早春紀行』「解説・旅する言葉、海と女の思想圏」(中公文庫、二〇二五年)、温又柔 『魯肉飯のさえずり』「解説」(中公文庫、二〇二三年)など、文庫解説も手がけている。 (版元より)
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新本『ふらんすの椅子』鈴木るみこ
¥1,760
『ふらんすの椅子』四月と十月文庫9 鈴木るみこ 港の人/四六判変型/並製本/写真1頁+本文176頁 2025.8.11発行 定価1,600円+税 ------- 雑誌『クウネル』の“心臓”であったライター・編集者鈴木るみこの遺稿集。『暮しの手帖』『フィガロ ジャポン』『すばる』などに掲載のエッセイのほか、未発表原稿5篇収録。 夢見る少女は、憧れのフランスに暮らす。いのちを愛おしむ眼差しからせっせと文章を書き、若い読者の夢を応援した。鈴木るみこは、大人になって最後まで夢見る少女のままだった。その切ない証しがポロポロ涙の結晶のようにこの本に詰まっている。 解説「るみちゃんへ」牧野伊三夫 装画 牧野伊三夫 装丁 青木隼人+牧野伊三夫 ■著者 鈴木るみこ(すずき・るみこ) 1963年静岡県富士宮市生まれ。ライター、編集者。1986年上智大学文学部フランス文学科卒業後、マガジンハウスに入社。1992年退社後、約2年間をフランスで過ごし、帰国後、執筆、編集、翻訳を手がける。雑誌『クウネル』に2001年創刊より携わり、生活雑誌の新局面を創出する斬新な編集と同誌に掲載された署名原稿により高い評価と人気を得る。2014年雑誌『つるとはな』ほかの雑誌や書籍の編集および執筆で活躍する。編著に『スマイルフード』(マガジンハウス、2000年)、『糸の宝石』(吉田昌太郎編、島隆志写真、ラトルズ、2009年)、『クウネルの旅 パリのすみっこ』(マガジンハウス、2010年)、『山口さんの椅子/記憶』(オオヤコーヒ焙煎所出版局、2012年)、『O KU 内藤礼 池上はどんなところだったか』(長野陽一写真、hehe、2014年)、『みどりの王国』(戎康友写真、青幻舎、2023年)ほか。2018年5月16日死去。 ■本書より 自分の幼い頃から大事にしてきた夢や幻想が、いつしか昔を忘れてしまった大人たちにどれほど生きる希望をもたらすか、彼女は知っていたと思う。『クウネル』は、それを語るために、彼女がようやく見つけた奇跡の場所だったのではないだろうか。おそらく持てる力のすべてをつぎ込んで書いていたと思う。──牧野伊三夫「るみちゃんへ」より ■目次 ふらんすの椅子 記憶/はじまりは一本のつるバラ。日々是、庭づくり。/フランスとレースと私 雨戸・そのほか 雨戸/花を飾る人/プレゼント/おあげさん/まなづる/白をおく/給食袋/ブールデルのアトリエ/ゴキゲン、いかが?/顔/馴れるものか/夢のはなし/メジロ小劇場/本棚を作る/映画とナイフ/空と、地べたと。/Yさんの言葉/熱の日 眺めのいい食卓 本のこと 第1回/第2回/第3回 未発表原稿 メロディ・フェア/和子さんの塩むすび/ミモザ/神さま/金の輪 るみちゃんへ 牧野伊三夫 (版元より)
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古本『あたしとあなた』谷川俊太郎
¥950
『あたしとあなた』 谷川俊太郎 ナナロク社 2015/8/25初版第二刷 装丁:名久井直子 ------- クロス貼り箔押しの表紙も美しい詩集。 特製しおり付き ------- 状態:良 表紙スレ ------ 中古商品のため使用感等ある場合がございますが、クリーニング後迅速丁寧に発送いたします。 ---商品状態の詳細--- 非常に良い: 非常にきれいな状態です。 良い: 一般的な中古商品です。 可: 経年劣化による傷み、日焼け、スレ、歪み、一部書き込み等がある場合がありますが、読むことに支障はありません。
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古本『かないくん』谷川俊太郎
¥400
『かないくん』 谷川俊太郎・作 松本大洋・絵 株式会社ほぼ日 B5判 フルカラー 2014/3/14第三刷 ------- 死ぬとどうなるの。 生きているだれもが、やがて死にます。それは、どういうことなんだろう。 谷川俊太郎が一夜で綴り、松本大洋が二年かけて描いた。 (版元より) ------- 状態:可 帯なし 副読本付き ------ 中古商品のため使用感等ある場合がございますが、クリーニング後迅速丁寧に発送いたします。 ---商品状態の詳細--- 非常に良い: 非常にきれいな状態です。 良い: 一般的な中古商品です。 可: 経年劣化による傷み、日焼け、スレ、歪み、一部書き込み等がある場合がありますが、読むことに支障はありません。
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古本『生きる』谷川俊太郎
¥1,400
『生きる』 谷川俊太郎・詩 岡本よしろう・絵 福音館書店 サイズ26×20cm 44頁 2017/4/1第二刷 ------- 谷川俊太郎の詩『生きる』の絵本。 小学生のきょうだいと家族がすごすある夏の一日。生きる瞬間の積み重ねを感じることができる。 ------- 状態:非常に良い 帯付き 谷川氏の直筆サイン・落款印入り ------ 中古商品のため使用感等ある場合がございますが、クリーニング後迅速丁寧に発送いたします。 ---商品状態の詳細--- 非常に良い: 非常にきれいな状態です。 良い: 一般的な中古商品です。 可: 経年劣化による傷み、日焼け、スレ、歪み、一部書き込み等がある場合がありますが、読むことに支障はありません。
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新本『誰もが別れる一日』 ソ・ユミ
¥1,870
『誰もが別れる一日』 ソ・ユミ 訳・金みんじょん/宮里 綾羽 明石書店/四六判/224頁 2025/2/28第二刷 定価1,700円+税 ------- 韓国文学界で大きな存在感を放つ作家ソ・ユミによる小説6編をまとめた待望の短編集。6作品の主人公たちは貧困、失業、借金、離婚、夫の失踪、身近な死、母親との別れなどを経験し、以前とは違う状態に移る瞬間を経験する。変化は不可逆的で、人生は過去の自分との別れの蓄積だ。誰にでも訪れる不安と危機の断面を解剖し、時代と社会の病を敏感に捉え平凡な人間群像を暖かく包み込む、篤実なリアリズム小説。 (版元より) 【目次】 エートル 犬の日々 休暇 後ろ姿の発見 その後の人生 変わっていく 解説 ついに立ち上がる人々 作家のことば 訳者あとがきⅠ 訳者あとがきⅡ
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新本『群れから逸れて生きるための自学自習法』 向坂くじら/柳原浩紀
¥1,980
『群れから逸れて生きるための自学自習法』 向坂くじら/柳原浩紀 明石書店/四六判/192頁 2025/4/20第二刷 定価1,800円+税 ------- 注目の詩人と教育者による、アウトサイダーのための勉強論 「勉強するのに仲間はいらない。むしろ、ひとりでいるために勉強が必要なのだ」。群れず、つるまず、あなた自身でいるための学び方とは。その試みは、他者を理解し、世界をゆがみなく捉える第一歩となる。一斉授業に困難を抱える中高生から、学び直しを求める大人まで。 朱喜哲(哲学者)推薦! 勉強は、あなたの孤独を守り、 そして自由にする。 学校が苦手で、それでも大学で 哲学をやると信じていた 14歳のわたしと、いま14歳のあなたに、 本書が届きますように。 (版元より) 【目次】 はじめに なぜ勉強の方法を知る必要があるのか? 【理論編】 01 学ぶとは何か?──目的と手段、そして対話 02 読む──すべての勉強はここからはじまる 03 理解する──少しはみ出すくらいがいい 04 覚える──ぶらぶら散歩するのがいい 05 言語化する──つまり、軽々と間違えること 06 考える──制約と跳躍 【実践編】 07 英語 ◇コラム 勉強する理由は「楽しいから」か? 08 数学 ◇コラム テストとは何か? なぜ試験勉強は勉強ではないのか? 09 国語 ◇コラム 勉強仲間は必要か? 10 社会 ◇コラム くじけるとは何か? 正しいくじけ方について 11 理科 ◇コラム なぜ学習法が大切なのか? 努力に逃げないことを頑張る おわりに 参考文献/教材リスト
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古本『父 小泉八雲』小泉一雄
¥2,800
『父 小泉八雲』 小泉一雄 小山書店 昭和25年発行 ------- 状態: 可 ヤケ シミ 裾スレ 〈函〉ヤケ ヤブレ 背ヤブレ→裏側から補修されています。表側からの補修はされておりません。 ------ 中古商品のため使用感等ある場合がございますが、クリーニング後迅速丁寧に発送いたします。 ---商品状態の詳細--- 非常に良い: 非常にきれいな状態です。 良い: 一般的な中古商品です。 可: 経年劣化による傷み、日焼け、スレ、歪み、一部書き込み等がある場合がありますが、読むことに支障はありません。
